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Update|2017.01.29

【BtoBマーケティング】なぜ「引き合い依存」ではダメなのか

現在、日本のBtoB企業の多くが「引き合い依存」という深刻な悩みに陥っています。
 
下記の図で説明します。(BtoB研修カリキュラムのレジュメからの抜粋です)
 

アンゾフ・マトリクス

アンゾフ・マトリクス(Strategies for diversification)


 
この図はアンゾフ・マトリクスと呼ばれるもので、アメリカの経済学者であるイゴール・アンゾフが1957年に「多角化のための戦略」という論文で発表したものです。
アンゾフは戦略経営論の創始者であり、企業戦略の父とも呼ばれています。
 
アンゾフ・マトリクスは製品開発や市場開拓、多角化といったさまざまな成長戦略を企業が考えるとき、リスク要因を理解するためのツールとして今でも活用されています。
 
マトリクスに示された4つの戦略は下記のように定義されています。

  1. 市場浸透は現在の市場で現在の製品の市場シェアを伸ばす成長方法
  2. 市場開拓は新しい顧客を開拓して現在の製品の売上高を伸ばす成長方法
  3. 製品開発は現在の市場と同一の顧客層に向けて新しい製品を開発する成長方法
  4. 多角化は新しい製品を新しい市場に向けて開発することにより成長する方法

日本企業は既存顧客に既存製品/サービスを売るのは得意とされています。
しかしながら、新製品を既存顧客に売ることや、既存製品を新規市場に売りこむことは上手にできていません。
 
既存顧客あるいは既存部門との商売のみで成り立っていて、そこが拡大すれば好景気ですが、縮小すると不景気になるという状況を繰り返しています。
 
国内市場が縮小しており、既存市場での売上拡大が難しくなってきている昨今、営業の「引合い」だけでは、目標達成が難しくなっています。
 
また、既存取引のある企業だとしても、他の事業部や異なる部署の人に出会うことができなければ、新製品を周知させることも、新しい市場を開拓することもできません。
 
これが「引き合い依存」がダメな理由です。
 
「引き合い依存」から脱却するには、マーケティングで案件を創出し、営業部門に供給する仕組みを作らなければなりません。
営業が訪問済みで一部門との取引がある顧客企業でも、他部門からのニーズ発掘を怠ってはならないのです。
 
BtoB企業がマーケティングなしで戦えたのはリーマン・ショックまでの世界の話です。
 
日本企業の製品品質や技術性能、アフターメンテナンスは世界でもトップクラスとされていますが、マーケティングでは欧米に大きく水をあけられています。残念ながら、いまのままでは欧米の企業とはとても戦いになりません。
 
欧米ではマーケティングで案件をいけすに追い込み、営業が銛で仕留めるというフォーメーションが組まれています。欧米ではマーケティング部門が強く、営業に対して「しっかり売れ」と言える立場にあるようです。
 
マーケティングと営業は案件における前工程と後工程であり、ともに売上を上げるという過程において対等なはずですが、日本企業の場合、売上に直接貢献できないマーケティングに対して、営業が強い決定力を持っているという状況があります。マーケティング部門が案件を創っても、営業が追ってくれないということも発生しています。
 
こういった状況を打開しようとして、マーケティング・オートメーション(MA)の仕組みを導入しようとする企業が増えていますが、そもそもBtoBマーケティングの下地がない日本企業では「ツールの導入/利用」が目的化してしまい、問題の本質的な解決に繋がっていない状況が数多く見られます。
 
新しい手段が登場するとそれが魔法の杖のように受け止められてしまいがちですが、手段が目的化してしまうと本末転倒です。BtoBマーケティング界隈でよく耳にするようになってきたキーワード「アカウントベースドマーケティング(ABM)」にも過剰な期待が寄せられているのではないかと懸念しています。
 
ABMは対象となるアカウント(企業)へのコンタクトポイントを創出し、情報を一元管理することで戦略的なアプローチをしようとするものであって、概念や考え方自体は新しいものではありません。SFA(営業支援システム)やMAなどのツールによって情報集約が進み、ABMを実施できる環境が整いつつあることで、その重要性が再認識されてきたと言えます。
 
MA活用やABMに向けた取り組みを成功させるには、BtoBマーケティングの基本的なナレッジが必要ということです。
 
マーケティング部門がナーチャリング(見込み客育成)を行い、スコアリング(見込み度判別)する場合、行動分析はウェブでも行えますが、属性を知るには他部門との連携と役割分担が必須です。
 
見込み客の情報は、営業部門が集めた名刺や、広報部門が持っている展示会来訪者のデータ、情報システム部門が持つ基幹データの購買履歴の中にあります。
 
つまり、MAツールの導入は組織のあり方を変えることと同義であり、活用していくためには部門を横断した組織が必要になるということです。
 
この組織横断という考え方と、マーケティングの仕組みを理解することができれば、日本の製造業はまだまだ成長できる余地があります。
 
多角化は全社戦略と呼ばれ、たいへんな時間とエネルギーを必要とする戦略ですが、その前に、市場開拓製品開発という戦略に目を向け、そこに必要なマーケティングナレッジを身に付ければ、必ず引き合い依存から脱却することができます。
 

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